優位なものによる威嚇外交(中国編)

2025年5月12日(月)
前回の「旬の話題」の続きとして、中国の事情について思うところを簡単に書いてみます。

中国はこの30年、急速に経済発展してまいりました。それは中国社会に、中国経済に、「資本」が生まれ成長し、「資本」が勢力を拡大してきた歴史だったと思います。西側諸国と比べると「資本」にとっての自由はかなり制限されているとはいえ、今の中国はもう、実際には資本主義的生産の仕組みの下に経済が回っていると言えるのではないでしょうか。その経済の急成長の結果として、中国には今、過剰とも言える資本(=生産能力)と生産設備が存在しており、世界の工場となりながら、14億人もの巨大な人口の国民に職と食を用意し、同時に膨大な商品を国外へと輸出しております。

しかしながらこの過剰資本、過剰生産設備、過剰商品、こうした現象は資本主義の回転の中では「恐慌」を呼び起こすアラートであります。恐慌に陥ると、過剰となった設備や商品の破壊、企業の倒産、大量失業(貧困、飢餓)などが発生し社会が崩壊します。中国は14億人が食べていくためには、過剰となった設備を回し続け、そこで生まれる過剰な商品を大量に国外へ売り続けて行くしかないという状況に次第に追い詰められていっているのではないでしょうか。そのための商品の販路の確保が「一帯一路」政策ということなのでしょう。多くの国から見たら中国は巨大な市場(商品の購入者)ではありますが、それ以上に中国として中国自身が過剰な生産を続けるしか道はない。それが今の中国の選択です。そしてそこで生まれた過剰な商品を国外へ向けて売り切っていくための強引さ、したたかさを備えた外交が「一帯一路」政策として今推し進められております。

中国として決して倒れるわけには行かない、そのための世界中への販路の拡大です。昔アヘン戦争なども含め帝国主義の欧州列強から自らの国(市場)を食い物にされた、まさかそれをやりかえそうという時代錯誤的なことを考えているわけではないのでしょうが、自国を守るためには外の市場を自国有利に仕向けていかなければならないという姿勢には昔の帝国主義に相通じるものがあるようにも思えます。

アメリカ(格差と分断)と中国(過剰資本と過剰生産)、それぞれにフェーズは違いますが、資本主義の循環の中で大国がもがいていることは間違いありません。しかし大国なるがゆえに、軍事、経済、外交、さらには国連などの国際機構の場、科学技術、IT支配、そういった全てのものを操りながら、全てを総動員して、全てを駆使して他国へ威嚇的、威圧的に振る舞う力を持っております。そしてそうすることで国内の問題を国外へ巻き散らす、(そうしないと国内が持たない、権力がもたない)・・・ いい加減にしてもらいたいというのが、今や世界の本音なのかもしれません。

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